4。任侠人 | adversity~賢くない私の生きてきた道~

4。任侠人

祖父は、誰が言うにも、極道の中の極道だ。映画の中の格好良いヤクザそのものだと言う。私たち孫にはそんな顔見せる事もなかったし、私が生まれた頃にはすでに現役を退いて、2代目に任せていたし・・・。私が知っていたのは、糖尿病を患っていた祖父の体に祖母がインシュリンを打つ時だけ、長袖の上着を脱ぐので、その時に手首まで入った刺青を見るときだけだった。それ以外は夏でも長袖に長ズボンのパジャマで、刺青を見せることはしなかった。
入退院を繰り返し、本宅に帰ってくるときもあれば、2号さんの家に居ることもあった。私と5歳年上の従姉妹の姉とで、いつもおじいちゃんに、おこづかいを貰いに、2号さんの家にも、病院にも行った。

私が小学校5年くらいになると、祖母の家に泊まりに行くことが多くなった。
其の頃になると、祖父もだいぶ弱っており、殆ど寝たきりだった。C型肝炎も患っていたので、相当だるかったのだろう・・・。
だけど、今まで、従姉妹の姉しか可愛がらなかった祖父が、
『お前、可愛くなってきたなぁ~。』
と、言った。それを母にいうと、母はすごくうれしそうだった。